2015-03-12   diary 

言葉を使う仕事

私は言葉を使う仕事をしている。

本を書いたり、メールマガジンを書いたり、連載記事を書いたりして生計を立てているのだから、まちがってはいない。

でも、言葉に対する感覚が優れているかというと、そんなことはなくて「普通」ではないかと思う。いわゆる作家の書くような「新しい言葉」を生み出していることはない、と思う。

文章がうまいかへたかといえば、うまいんだと思う。しかし、それは表現が美しいという意味ではなく、物事を整理し、順序立て、適切な言葉に変換して並べるのがうまいという意味である。

もちろん、よく整理された部屋がある種の美しさを持つように、私の文章がある種の美しさを持ってしまうことはあるだろう。でもそれは美しさを目指して生まれたものではなく、いわば副産物に過ぎない。

私の関心は、読者の「なるほど」にある。

私の関心は、読者の「うっとり」にはない。

他人の文章を読んでいて一番もどかしいのは、素晴らしい題材が不適切に語られているときである。「こう書けばもっとよく伝わるのに」「その例では誤解されちゃうよ」とやきもきしてしまう。

結果的に、そのようなもどかしさが私の創作欲を刺激することもよくある。デザパタ本を書いたときがそうだった。

自分自身が後で読み返したときに「なるほど」と言えるような文章をこれからも書いていきたい。

結城メルマガ https://www.hyuki.com/mm/

 2015-03-12   diary