2014-09-13  math 

ちょっとした数式が混じった文章の例

「たとえば、$r$を実数とする。そのとき、$r$を二乗した数$r^2$についてどんなことが言えるかな。考えてみよう」 $$ r^2 $$ 僕の問いかけに、テトラちゃんは数秒考える。

$r^2$は、二乗したんだから、$0$より大きくなりますよね …… そういうことですか?」

「いや、違うよ。《$r^2$$0$より大きい》じゃなく《$r^2$$0$以上》が正しい。$r = 0$かもしれないからね」

「あっ、そうですね。$r$がゼロだったら、$r^2$もゼロですね。はい、《$r^2$$0$以上》ですね」

テトラちゃんは、納得したように頷く。僕も頷き、先を続ける。

「つまり、次の不等式は$r$がどんな実数であったとしても成り立つ。そうだよね?」 $$ r^2 \geqq 0 $$ 「え? えっと、そうですね。$r$が実数なら、$r^2$はゼロ以上ですね」

「実数$r$はプラスか、ゼロか、マイナス。そしてそのいずれの場合でも二乗すると$0$以上になる。だから、$r^2 \geqq 0$が成り立つ。これは《$r$が実数》といわれたときに注意しておくべき重要な性質だよ。等号が成り立つのは$r = 0$の場合だ」

「あのう……、当たり前みたい、なんですけど」

「そう。当たり前だよね。当たり前のところから出発するのはいいことだよ。じゃあ、ここから少し進んでみよう。$a$$b$が実数だとしよう。そのとき、次の不等式も成り立つ。いいかな?」 $$ (a - b)^2 \geqq 0 $$ 「ええと、え、ええ。そうですね。分かります。$a - b$は実数ですものね。実数だから、二乗したら$0$以上になる。……ちょ、ちょっと待ってほしいんですが、さっきは$r^2 \geqq 0$$r$って文字を使いましたよね。どうして今度は$a$$b$を使ったんですか。いつも、こういうところであたし、考え込んじゃって。あたしが考え込んでいると、先生の説明はその間にずっと先まで進んじゃうんです……」

数学ガール

 2014-09-13  math